■最後の夏 第一話

★新人スタッフ『さいとう たかお』がお届けする
ちょっと甘くて切ないラブストーリーを
お楽しみ下さい!

「私は黒が良いな♪白はちょっと恥ずかしい」
唯は試着室のカーテンを開けて姿を見せると
雄一朗にこう言った

雄一朗の好みは白だったのだが
彼女の希望を優先して黒にした
水着に合わせてサンダルも選んだ

この夏は海かプールに行く話で盛り上がっていた
今日は、唯の誕生日プレゼントにと若者向けの
ファッションビルにやってきた

雄一朗と唯が水着を選んでいると
店員さんは「旅行ですか?」
と声をかけてきた

恋人同士に見えたのだろうか?
そうならば嬉しい

友人の紹介で唯と出会った
当時未だ唯は大学生だった
雄一朗は・・・40代半ばという
大人と子供のカップルだった

当初は友達感覚だったのだが
雄一朗はだんだんと唯を愛するようになってしまった

このままこの関係が続く訳は無い
そんな事はわかっていた

「唯は僕といつまでこうして会ってくれるかな」
雄一朗は唯の手をとり呟くと
唯はクスッと笑った

時間がこのまま止まってくれたら良いのに

雄一朗は、夏に向う青空を見上げてこう思った

【つづく】
※ストーリーに登場する人物等は全てフィクションです