★新人スタッフ 『さいとう たかお』の
ちょっと甘くて切ないラブストーリーを
お楽しみ下さい!

『・・・大丈夫?』
雄一朗は
ゆっくりと史恵(ふみえ)のほうを見た

『う、うん、なんとか・・・』
史恵は答えた

春の嵐か
雨天が数日間続いていた頃

雄一朗は
自宅のベランダから外を
眺めていた

幼少期に全国的に
「スーパーカーブーム」が
巻き起こり

雄一朗もご他聞に漏れず
スーパーカーに夢中に
なっていた

ブームが去ったあとは
たまに自動車雑誌を見るくらい
だったが

自分が免許を取る年齢になったくらいから
自動車熱が再燃した

憧れの車は
「ポルシェ」

同じ大学に通う裕福な学生の中には
BMWやベンツ、ポルシェやフェラーリに乗って
通学をする兵も複数いた

当時は、彼らが羨ましくて仕方がなかった

雄一朗の愛車は
親にせがんで買ってもらった

黒のサバンナRX-7

アメリカでは
「プアマンズポルシェ」と
不名誉な呼ばれ方をしていた
その車だった

【つづく】

※ストーリーに登場する人物等は
 全てフィクションです