■春爛漫 第二話

★新人スタッフ 『さいとう たかお』がお届けする
ちょっと甘くて切ないラブストーリーを
お楽しみ下さい!

 

「これ見て♪」
レイコは、優しくそう言うと
雄一朗にスマホの画面を見せた
そこには可愛い愛犬が3匹写っていた

あぁ、彼女の恋人はこの子達か・・・

先日とあるテレビ番組で、婚期を遅らせる原因の
一つに「ペットを飼う」ことだとカウンセラーの
方が言ってたな

「僕は、好きな人と喧嘩をしたくないんだ
ずっと一緒にいると必ず喧嘩をする事になる
だから少し距離をおいている方が良いかもね」
雄一朗は、少し酔った勢いもありこんな事を言った

レイコは「ふ~ん」
と言ったのみで何も語らなかった

食事も終り、帰りはタクシーで送ろうかと思って
いたのだが、時間も早いしレイコがバスで帰ろうと
言うので一緒にバスに乗る事にした

バスの狭いシートに肩を寄せて座ると
彼女の香水の匂いが漂ってくる

思えば、レイコとこんなに近くに接近した事は
なかった

数分で彼女が降りるバス停に近づいた

バスを降りる際
「朝晩は涼しい時があるから体に気をつけてね♪」
彼女はそう言ってくれた

雄一朗は、ちょっと酔っていた為か、こくりとうなずいた
今となっては、少し気の利いた言葉でもかけてあげれたらと
悔やまれる

自宅マンションに着くと
ほんのりと彼女の香水の匂いがワンルームの部屋に香った

【つづく】
※ストーリーに登場する人物等は全てフィクションです